わざわざ雨の日に田んぼを見に行く人の心理

そういう苦労を考えれば、手で植えさせたり手で刈らせることは、本来の農業からかけ離れたパフォーマンスなんです。
今は機械で植えて機械で刈る時代。未だに手で植えて手で刈る昔ながらの農法をやっている農家はほぼないでしょう。

本来の農業よりかけ離れているのに何故、手で植えさせ手で刈らせるか?それは農業を体験させることに意義があり
正しい、効率的な農法かどうかは重要ではないからですね。
だから体験ツアーに参加して、それが面白いから農業を始めてみようというのはとても安直ですね。
子供に食材を生産する流れや重要性を教えるという意味なら理解できますが。

体験ツアーはおいしい部分しか見せませんが、農家の仕事というのは地味でつらい仕事の積み重ねです。
よく大雨や台風の日、所有している田んぼの様子を見に行って行方不明になってしまうというニュースを聞きますね。
普通に考えれば自分の命と田んぼのどっちが大切なんだ、と一蹴するでしょうが
自分には田んぼの様子を見に行きたいという人の気持ちも分かります。さすがに見に行きませんが。

本音と建て前

さて、体験者が汗水たらして手植えした田んぼはどうなると思いますか?
自分が専業農家で、且つ体験ツアーがその場限りだった場合、機械で土を掘り起こして植えた苗と土をぐちゃぐちゃに混ぜて
上から新しく機械で植え直すと思います。
これを聞いて非情だと思われるかもしれませんが、ビジネスとして効率を取るのは当然というのが自分の考えです。

何故かというと手で植えたものを機械で刈り取るのは困難だからです。ベテランならともかく、素人がきちんと植えられるわけがありません。
特に農業用機械は繊細で、ちょっとしたことで動きを止めてしまいます。
刈取りの安定性を考えれば多少の時間をかけてでも植え直した方が、結果的に時間も早くロスも少なく終わらせることができます。

手で植えた場所は手で刈り取るという考え方もあり、稲刈り体験ツアーとしてそれも人気ですね。
勿論、機械で全ての部分を刈れるわけではないので機械が入りにくい部分は自分も刈りますけど、とても重労働なんです。
それに機械で刈れば自動的に一定量の稲をヒモで束ねてくれますが、手で刈ったら人間が束ねなければいけません。
束ねること自体の労力はたいしたものではないものの、機械に任せることができる部分は任せた方が良いと思います。